「エンプロイヤーブランド」とは?外国人視点で、グローバル人材採用に役立つ方法を考えてみた

企業ーー特にIT関連分野では人材の採用が難しくなっていますが、必ずしも人材不足だけが理由ではありません。企業が、必要とするグローバルに活躍できる人材を獲得するためには、働く場所としての価値を伝える「エンプロイヤーブランド」の構築が必要であることを、前回の記事でお伝えしました。

 
 

この記事では、日本在住外国人である私自身の視点から、自社の採用問い合わせ+400%アップの事例 を踏まえながら具体的なエンプロイヤーブランドの構築方法や、そのメリットを考えてみます。


目次

エンプロイヤーブランドとは

採用お問い合わせ+400%UPを実現した、エンプロイヤーブランド構築方法

エンプロイヤーブランド構築のメリット


「エンプロイヤーブランド」とは?


Wikipediaの簡単な説明を見てみましょう:

エンプロイヤーブランドとは、一般的な企業ブランドの評判やイメージではなく、働く場所としての企業の評判・イメージや従業員に対する提供価値のことを指します。

また、こんなデータがあります。

アクティブな求職者の75%は、雇用主が積極的にエンプロイヤーブランドを管理している場合、その仕事に応募する可能性が高い。

- Glassdoor(株式会社リクルートホールディングス傘下のジョブサーチ&カンパニーレビューサイト企業)

人事担当者の86%が採用はマーケティングに似てきていると回答。

- iCIMS(クラウドベースのリクルーティングプラットフォーム)

強力なエンプロイヤーブランドは、採用単価を-50%、離職率を-28%削減することができます。

- Glassdoor


多くの企業は、「人材獲得ファネル」の最上位フェーズを無視し、人材検索と採用に多くの費用を支払ってしまっていることを、前回の記事でもお伝えしました。

企業は、製品やサービスのデジタルマーケティングと同様に、「働く場所として選んでもらえるブランドづくり」が必要です。

グローバル人材との協働に真摯に取り組んでいる日本企業については、「典型的な日本企業とは違う!」ということが、伝わるようにするべきです。



「エンプロイヤーブランド」を構築する方法


社内のワークカルチャーを可視化する準備から

実際に自社で働くとはどんな感じか?をコンテンツとして伝える必要があります。

そのためには、土台をしっかり作っておくことが大切です。そうしないと、自社のワークライフを透明にすることに違和感を覚え、採用マーケティングも中途半端なものになってしまいます。

まずは自社のありのままを発信したいことを、社内で共有しましょう。誰でもいきなりカメラやインタビューを向けられると戸惑うものです。なぜ自社を発信したいのかを共有することから始めましょう。

ミレニアルやスマートフォンのネイティブZ世代の人は、不真面目さをすぐに見抜きますし、SNS時代には、真実が表に出てくることが多いのです。

良いことに、人々は雇用主に完璧を求めず、誠実さと説明責任を求めているのです。


スタッフを中心としたコンテンツ制作

⼈の意思決定は、様々な要因によって成されますが、最終的に大きな影響を与えるのは「⼈」です。それは面接を行う理由の一つでもあります。仕事を考えている人は、自分の毎日がどんなものなのか、どんな人と一緒に働くのかを想像しようとします。

つまり、企業の社員は、エンプロイヤーブランドのマーケティング資産なのです。

社員の中には、さまざまな個性、興味深い個人的な経験、日々の活動など、実はあなたの会社独自のものが隠れています。このようなことを社外に発信することで、働く場所としての企業イメージを高め、採用選考に役立てることができます。

たとえ業界トップクラスの福利厚生でなくても、同僚と楽しく働けるかどうかを重視する人はいます。

コンテンツに社員が登場するというだけで、その企業は社員が主役のオープンな企業に見えるのです。例えば、私の働くTAMのエンプロイヤーブランドのコンテンツを考えてみましょう。

TAM made by people」と題されたブログは、会社そのものに対して多少の摩擦があっても、スタッフの視点や考え方に焦点を当てながら、その実態を深く掘り下げています。

読者は、その企業で働く人について知ることができるだけでなく、このような嘘のないコンテンツの透明性に好感を持ちます。

このブログは、採用の問い合わせを+400%増加させることに貢献しました。



適切なコンテンツ配信

SNSの利用を検討されている方の多くは、自問自答されたことがあるのではないでしょうか:

"ターゲットとのコミュニケーションのために、どのSNSを使えばいいのか?"



しかし、それと同じくらい重要なことがあります:

“自社・自分自身にはどのSNSが向いているのか?”

"どのSNSなら続けられそうか?"



マーケティングにおいて、一貫したメッセージは大きな要素であり、それは採用マーケティングにおいても同じです。

主要なSNSの多くはすでにどの媒体も数億人のユーザーを抱えており、ターゲットの多くが利用していることは間違いないでしょう。それよりも、コンスタントにコンテンツを制作し、配信できるか?の観点での検討が重要です。

文章を書くのが得意なスタッフがいる。→ ブログの活用を検討する。

話すのが得意な人がいる。→ ポッドキャストが良いかもしれません。

ビジュアルコンテンツを作るのが得意な人はいる。→ YouTubeやTikTok、Instagramのようなプラットフォームを検討してみることができます。



自社が本来得意とするコミュニケーション方法を、まず最初に検討すべきです。おしゃれな内容である必要はなく、誠実であればいいのです。



スタッフ中心のコンテンツを、各コミュニケーションプラットフォームに合わせた形で配信する。

例えば、スタッフのお正月の迎え方を紹介したインスタグラムの動画シリーズを考えてみましょう。スタッフ本人を起用し、親しみやすく、縦長で投稿され、音を消してアプリを使う人が多いのでキャプションも入っていることが、Instagramにマッチしています。



エンプロイヤーブランドの構築には、どのようなメリットがある?

これらは、メリットのほんの一部です。

組織のイメージをハンドリングできるようになります。

社外の人だけがあなたの会社のイメージを話すのではなく、あなたの会社のスタッフが真実を伝え、イメージをつくることになります。

そのため、自社がどのように見られているかをコントロールすることができるようになります。



よりマッチした⼈材と出会えるようになります。

ビジネスソフトウェア市場のG2によると、求職者の62%がSNSを利用して企業のエンプロイヤーブランドを評価しているそうです。

ほぼすべての人がSNSを利用し、そのほとんどが応募前に企業のエンプロイヤーブランドをリサーチしているため、自社のワークスタイルやカルチャーをすでにより理解している人からの応募となります。そうすれば、採用やトレーニングの費用を節約することができる可能性が上がります。



グローバル人材の採用可能性を広げます。

雇用主としての企業の在り方を多くの人が知れば知るほど、ポジティブなチームメンバーやパートナーに巡り会える可能性は高くなります。

コミュニケーションのボーダレス化が進み、仕事のグローバル化が加速する中、国内のみにフォーカスする考え方を脱却することが、競争に勝つために必要不可欠になってきています。



そこで私たちは、日本企業がグローバルに発信し、より多くの人材を獲得できるよう支援するサービスを提供しています



お読みいただきありがとうございました。この記事にご興味を持っていただけたようでしたら、ぜひ他の方とシェアしてください!



編集:佐藤佳穂


石田 バレット

海外向けマーケティングディレクター

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