日本の簡単開設ECサービスBASEとSTORESを紹介

あなたのブランドの商品を日本向けにオンラインで販売する場合、「どのECサービスを活用するか」は非常に重要なテーマです。

日本人は海外のECサイトに慣れていない人が多く、きめ細やかなサービスを求める文化もあることから、日本に合ったECサイトが必要です。

そこでこの記事では、日本向けの自社ECショップが簡単に開設できる、「BASE」と「STORES」の特徴をご紹介します。

日本人は、なぜ海外サイトにハードルを感じる?

翻訳機能で日本語が表示されていたとしても、日本人にとって海外サイトは難しいと感じることがあります。

多くの場合、日本のWebサイトは案内や説明が多いです。同じブランドの海外サイトと日本サイトを比較してみても、テキスト量がまったく異なることがよくあります。多くの日本の方は、ていねいでわかりやすい説明を求めています。

ジェラート・ピケの日本サイト(右)の長さは、米国サイト(左)よりも長く、より多くの詳細とコミュニケーション・アングルを含んでいる

また、8割近くの回答者が「海外のECを利用するのに不安がある」との調査結果もあるなど、島国であり常に高品質の自国のサービスを受けている日本の人に、オンラインで振り向いてもらうには、日本の人々の文化や習慣を理解する必要があります。

実施した調査では、日本の消費者の大半が、グローバルECサイトでの購入を検討する際、特に配送時間や費用、商品の受け取りに対する信頼感に関して、何らかの不安を感じていることがわかった

BASE, a user-friendly Japanese e-commerce platform

BASEは、BASE株式会社が提供するネットショップを作成するサービスです。コンセプトは、「誰でも簡単に、30秒でネットショップが作れるサービス」。商品が売れるまでは初期費用・固定費用なし(スタンダードプランのみ)でネットショップを始められます。

「開設まで30秒、販売まで30分」と言われているとおり簡単な手続きで、PCを使わずスマートフォンのみでも開設・販売開始が可能です。

利用プランはスダンダートとグロースの2種類あります。月額費用はスダンダートプランが無料で、グロースプランは5,980円です。ネットショップをはじめたばかりの方など、月17万以下の売上の場合は無料プランの方がコストを抑えることができます。逆に毎月安定してそれ以上の売上がある企業は、購入した時の販売手数料が安いグロースプランがおすすめです。

メリットは、即日で販売開始できることです。決済審査が基本は不要で(一部の法人カードのみ必要)、スムーズにショップをはじめられます。そして、BASEを利用するショップが集まるプラットフォーム「PayID」を利用できます。1か月のアクティブユーザーは100万人以上おり、自社の商品を発信できます。

PayIDのサービスサイトのトップページ

また、英語でのページ作成はもちろん、地域・商品単位・購入金額に応じて送料を設定でき、34種類の外貨に対応しています。海外配送の事業を行う「NEOlogi」と提携しているため、150カ国への配送も可能。自社で物流システムを持たない会社など、海外配送に不慣れな企業には安心のサポート体制です。

デメリットは、自社や共同運営者の中で日本国内の住所を持っていないとショップを開設できないことです。さらに、クレジットカード決済においても、海外で作成したカードは使えません。ただし、PayPalを導入しているため、海外在住者の決済において大きなリスクとなることはないようです。

STORES

https://stores.jp/ec

STORESのサービスサイトトップページ

STORESはSTORES 株式会社が提供しているネットショップ作成サービスです。BASEと同じく初期費用・固定費用なし(スタンダードプランのみ)で、誰でも簡単に本格的なネットショップをはじめられます。豊富なデザインテンプレートと簡単な操作で、自分らしいデザインのネットショップを開設できます。


利用プランはフリープランとグロースプランの21種類です。月額費用はBASEと同じく、無料と有料のプランがあります。メリットはBASEと比べて、月額費用や振込手数料などは安い傾向にあること。決済方法はBASEよりも数が多く、10種類あることです。代金引換が使えるため、ユーザーの支払うハードルが低くなります。代金引換は代金と荷物を引き換える配達手法です。日本人が多く利用する要因は、日本全体の現金の利用率が高い傾向にあるからです(2022年の経済産業書の調査において現金利用率68%)。日本は治安が良く、スリなどの盗難リスクが低いこともあり、現金の信用度が他国と比べ高い傾向にあります。特に年齢制限でカードをつくれない18歳未満など、クレジットカードを持たない人が選びやすい決済手段です。


さらに、ECだけではなく、実店舗の顧客情報や売上管理を含めてワンストップで管理できます。同じ会社でPOSレジシステムや予約管理システム、ブランドアプリ作成アプリサービスまで展開しているため、オフラインでの販売やECまで、顧客情報の取得・統合・分析・活用まで一元管理できます。


ECだけではなく、STORESで実店舗の顧客情報や売上管理を含めてワンストップで管理できます

一番の魅力は海外在住者でもショップを開設ができることですが、条件として売上金を振り込むための日本の銀行口座を用意する必要があります。

口座の種類は「入金の受け入れが可能でSTORESのWebサイト上の振込設定で登録完了できる口座」であれば、個人口座や法人口座、バーチャル口座でのご登録も可能です。

しかし、海外に国籍がある人が日本の銀行で口座を作るには在留カードなどの書類の提出を求められること、外国企業が日本で口座を開設するには、日本の登記簿謄本または印鑑登録証明書など日本の住所が必要であることから、結果として日本に住所があることが必要となります。

デメリットとしては日本国内の住所がないとクレジットカードを利用できないことです(共同運営者が日本国内にいる場合は別)。代わりにPayPalが導入されているため、海外在住者は注文できないという最悪の事態は避けられるようです。しかし、ECサイトの支払いでよく利用されるクレジットカードが使えないことは、大きな機会損失につながります。さらに、他の決済手法においても、通常の入金サイクルでは入金まで最大2か月を待たなければいけません。売上金がすぐにほしい方には不向きでしょう。

また、海外対応も英文表記のみで外貨の表記は対応していません。配送に関しても、海外向けの独自の物流システムをもっていないため、関税などの影響で送料が高くなる可能性もあります。

まとめ

今回は、自社でECショップが開設できる2社のサービスを紹介いたしました。どちらのサービスも共通していることは、商品が売れるまでは販売手数料・固定費は無料であること(スダンダートプランのみ)。PCを使わずに、スマートフォンなどでネットショップを作成できることです。

大きな違いとしてはBASEは全体的に手数料が他社と比べて安く、日本からの海外配送に必要なオプションが豊富なこと。ユーザーから安定して定期的に商品の購入がある企業や日本国内から海外配送を行う企業なら、BASEを利用した方がよいでしょう。STORESは、クレジットカードをつくれない18歳未満の人に向けた商品を販売する企業におすすめです。


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