ホテルマーケティングで重要な5つのポイント
旅先で泊まるところ、いわゆるホテルは今やみんなが利用するものになりました。スタンダードなホテル、デラックスなホテル、イン、ホステル、シェアハウス、ゲストハウス、エアビーアンドビーの数えきれないほどの部屋 ー旅行者の選択の幅はとても広くなっています。
こんな中で、あるひとつのホテルを目立たせるにはどうしたらいいのでしょうか?
ある素晴らしいホテルがあったとしましょう。でも旅行者にそれが知られていなければ何にもなりません。誰かが、知らないホテルのバナー広告や検索広告を見て、クリックして予約してくれる可能性はとても低いものです。自分がそんなことはめったにしないのですから、他の人だってそんなことはしないでしょう。
ほとんどのホテルは以前から宣伝広告に力を入れていますが、今の世の中でお客様になってくれるかもしれない人に影響を与えるためには、単なる宣伝広告以上のことをしなければなりません。
今、広く知られるためには次のようなことをする必要があります。
1. 経験に焦点をあてたブランド作り
製品やサービスのブランドイメージは、私たちが買ったり使ったりするモノに影響を与えます。ロケーションや価格のほかに知りたいのは、ホテルが旅に何を添えてくれるのかということです。
旅というのは、本来、経験です。リッツカールトンは滞在中贅沢な気分を味わわせてくれるし、エアビーアンドビーはどこでも現地の人のような気分にさせてくれる。
ホテルのブランドの特徴は何か、そこでお客様はどんな経験ができるのかをはっきりさせ、それを伝えるいろいろな方法を考えましょう。
2. 注目を集めるSNSの活用
世界中の人々が集まっているスマホのSNSを使いましょう。フェイスブックには20億人、インスタグラムには8億人の人々がつながっています。
SNSは若者だけの流行ではありません。仕事上ならSNSに対する私たちの意識は今さら取りたてて言うようなものではありません。
人々の目も耳もはじめからSNSにあって、そこはもともと注目すべきところで、そこにある情報はあと回しにしていいものでも「時間があれば」対応すればいいものでもないからです。でも、ホテルについて知ってもらいたければ、まずは人々の注意を引きつけること、それこそが必要です。そしてみんなが注目しているはSNSなのです。
3. 心に響くクリエイティブ(コンテンツ) の作成
SNSのアカウントはテレビや雑誌と同じようなメディアです。コマーシャルや広告しかないテレビや雑誌を見たり、読んだり、気にしたりはしないでしょう。
だから、宣伝や広告「だけ」を流してはいけません。調べによると、SNSで人々が最もイライラするのはこのようなやり方です。
SNSでキーを握るのはクリエイティブです。これは「クリエイティブな」バナー広告という意味ではありません。ここでクリエイティブというのはコンテンツ、つまりほとんどのプラットフォーム上にあるヴィジュアルコンテンツのことで、これによってSNSを見ているファンや、クライアントになってくれるかもしれない人に情報を与えたり、楽しませたりするのです。ここにブランドのストーリーがあると言ってもよいでしょう。
たとえば、ただホテルのレストランの寿司を見せるのではなく、シェフや彼の腕前を紹介するドキュメンタリー風のページを作ってみましょう。そうすれば見た人はずっと興味をそそられるし、そのシェフや彼の腕前を気に入ってくれて、いいね! を押してくれたり、拡散してくれたりするかもしれません。
いいね! も拡散も、ホテルのことを広め、見た人は旅行しようと思った時にそのホテルのことを思い浮かべるかもしれません。
4. 口コミやおすすめの活用
ソーシャルメディアについて重要なのはその拡散能力の高さです。
87%の人が、友人や家族の意見と同じくらいオンライン上のレビューを信用しています。だからホテルのサイトや「ブッキングドットコム」のページにあるレビューは大きな力を発揮します。
でも誰かがホテルで撮った素敵な写真をSNSに投稿していたら、それもまたフォロワーにとってポジティブな口コミになります。そしてその投稿をホテルのアカウントに貼っておけばアカウントのフォロワーたちにも情報をとどけることができるのです。
さらに、お金を払ってそれを「広告」として使えば、もともと興味を持っていた人たち以外の人の目にも触れさせることができます。
つまり、多くのフォロワーを持っている人、いわゆるインフルエンサーにホテルについて投稿してもらえばそのインパクトは非常に大きいのです。インフルエンサーにお金を払ってホテルに滞在してもらい、その発言に注目している何千人ものフォロワーに向けて投稿してもらえば、皆が毎日避けているウェブサイト上のバナー広告にお金をかけるより、ずっと効果が高いし、コストパフォーマンスが良いのです。
5. 効果的な宣伝のための情報収集
ソーシャルメディアの利用によってより多くの人に情報をとどけられるだけではなく、興味を持っているのは本当のところ誰なのかを知ることができます。
誰かがあるソーシャルメディア上のコンテンツを見てサイトに連絡してきたり、訪ねてきてくれたりしたら、その人について知ることができます。そしてコンテンツがあまりに商業臭が強いものやスパムのようなものでない限り、より多くの人がつながってきますが、それはより多くのデータが集まってくるということなのです。
そのデータを利用して、つながってきた人に広告をもう一度送ることもできます。これを再ターゲッティングとか再マーケティングと言います。あるいは始めにつながってきた人と同じような人に広告を送ることもできます。この人たちはいつか行動に出ようと考える可能性がより高い人たちです。
これらの項目のすべての必要性を認め、やってみるということは従来の宣伝広告がすべてだという思い込みを脱するということです。
ホテル産業は変わってきています。それは消費者、つまり私たちが変わってきているからです。私たちはもうたいていのEメールは受け取りたくないし、バナー広告にはウンザリしているし、ホテルのウェブサイトを気にかけることもありません。
私たちはソーシャルメディアで会社のことを調べたり評価したりし、オンライン上でフォローしている会ったこともない人に影響され、インスタグラムを見て行くところを決めます。上にあげたようなことに真剣に取り組み、お客様の旅の経験の価値を上げる存在だとアピールできるホテルこそがこれからの旅行業で成功を収めることができるでしょう。